更年期からの筋トレ|働く女性が運動を続けるために

「以前と同じように過ごしているのに疲れやすい。運動したほうがよいとは思うけれど、何から始めればいいのだろう。」
更年期にあたる時期は、仕事や家庭で責任が増える時期とも重なります。運動の大切さを聞いても、生活のどこに入れるかで立ち止まってしまうことがあります。
筋トレを始めることと、体調の波を我慢して頑張ることは別です。
CrossFit HQの記事と研究を参考に、働く女性が運動を続けるための考え方を、医師・産業医の視点から整理します。

画像は内容を伝えるためのイメージです。実際の施設・スタッフ・会員を撮影したものではありません。
HQの記事は何を伝えているのか
CrossFit公式は2026年10月、更年期とトレーニングをテーマに記事を公開しました。筋力や体力を長く保つこと、負荷を個人に合わせること、コーチとのコミュニケーションが主な論点です。
ここで注意したいのは、CrossFitを推す著者の見解と、研究そのものの結果を分けることです。「更年期の女性にはCrossFitが最適」と一律に結論づける必要はありません。
筋トレの研究から言えること、言い切れないこと
LIFTMOR試験では、骨量が少ない閉経後の女性101人を対象に、監督下で行う筋力・衝撃負荷トレーニングと、自宅での低強度運動を比較しました。8か月の介入で、骨密度や身体機能の一部に改善が報告されています。
ただし対象者は選定され、専門的な監督のもとで実施された試験です。CrossFitのクラスそのものを評価した研究ではなく、更年期の症状が運動で治ると示したものでもありません。
研究に高い負荷が登場することは、初心者が自己判断で重いものを持つ理由にはなりません。
骨粗しょう症、骨折歴、治療中の病気、関節の痛みなどがある場合は、運動の種類や負荷について医療者に確認してから始めましょう。
働く女性の運動は、体力だけでなく生活から考える
1.通える時間より、回復できる予定を考える
仕事と家事のあとに無理やり運動を入れ、睡眠時間を削ってしまうなら、その組み方は見直したいところです。私が産業医の視点から重視したいのは、「運動する時間を確保したか」だけでなく、「回復する時間を残せたか」です。
最初から理想の回数を決め込まず、予定の詰まり方や翌日の疲れを見ながら続け方を調整する。それでも十分なスタートになります。
無理のない予定の組み方については、クロスフィットの通う頻度と休養の目安で例を紹介しています。
2.その日の状態を、説明できる範囲で伝える
寝つきが悪かった日、暑さがつらい日、疲れが残っている日。同じメニューでも取り組みやすさが変わることがあります。コーチには、睡眠や痛み、いつもと違う体調など、運動に関係する範囲を伝えてください。
更年期の診断や個人的な事情を、皆の前で説明する必要はありません。話しにくいことは、参加前に個別に相談する方法もあります。
3.調子の良い日を、毎日の基準にしない
先週できた重量が今日は重いと感じても、それだけで後退したとは限りません。回数や重量だけで評価すると、体調を伝えにくくなってしまいます。
動きが安定した、余裕を残して終えられた、翌日の生活に支障がなかった。そんな変化も、続け方を考える材料にしてください。
体調や動きの変化を残す方法は、クロスフィットの記録のつけ方も参考にしてください。
CrossFitでは、運動をどう調整できる?
クロスフィットでは、重量、回数、動作の難しさなどを調整する「スケーリング」という考え方があります。調整は、できないことを隠すためではなく、その人に合う内容にするためのものです。
たとえば跳ぶ動作の代わりに段差を上がる動作を検討する、負荷を軽くしてフォームを確認するなどの選択肢があります。ただし、代わりの動作も全員に安全とは限りません。痛みや病気の状態を踏まえて相談が必要です。
青山で運動を続けるうえでも、周囲の記録より、その日の自分に合う調整を相談できることを大切にしたいと考えています。
重量や回数、動作を変える方法は、スケーリングの具体例で詳しく説明しています。
「更年期だから」で片づけない
疲れ、動悸、気分の落ち込み、眠れなさなどには、更年期以外の原因が関わる場合もあります。症状が続く、日常生活に支障がある、いつもと様子が違う場合は、婦人科やかかりつけ医などに相談してください。
運動は医療の代わりではありません。必要な診療を受けることと、無理のない身体活動を考えることは両立します。胸痛や失神、強い息切れなどがある場合は運動を中止し、速やかな医療対応を優先してください。
よくある質問
ウォーキングだけではだめですか?
ウォーキングも大切な身体活動です。「それだけではだめ」と考える必要はありません。筋力を使う運動をどう加えるかは、体調、運動経験、目的に合わせて考えましょう。
筋トレをすれば、ほてりや不眠は治りますか?
改善を保証することはできません。つらい症状は運動だけで解決しようとせず、医療機関で相談してください。筋トレの目標と症状の治療は分けて考えることが大切です。
まとめ
更年期からの運動は、若い頃の記録を取り戻すためだけのものではありません。これからの仕事や暮らしを支える体力を、今の体調に合う方法で育てていくこと。負荷の調整と、必要な医療相談の両方を大切にしてください。
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CrossFit Aoyamaについて
CrossFit Aoyamaは南青山・外苑前のフィットネスジムです。運動の始め方を考える際は、施設やコーチの紹介もご覧ください。個別の病気の診断・治療は医療機関での相談となります。
参考情報
執筆:薮野淳也(医師・認定産業医/CrossFit Aoyama)
本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断や運動処方を行うものではありません。症状や持病、治療状況によって適切な運動は異なります。必要に応じて医師や担当コーチへご相談ください。


