40代・50代からのリングロー|懸垂ができなくても始められる運動

「懸垂は1回もできない。リングを使う運動なんて、もっと難しそう。」
ジムの天井から下がるリングを見ると、体操選手のような動きを想像するかもしれません。でも、リングを使う運動は、ぶら下がったり宙に浮いたりするものだけではありません。
リングローは、足を床につけたまま、自分の体をリングに向かって引く運動です。
この記事では、40代・50代で運動を始める方に向けて、リングローの考え方と取り組むときの注意点を整理します。

画像は内容を伝えるためのイメージです。実際の施設・スタッフ・会員を撮影したものではありません。
HQの記事から:リングは上級者だけの道具ではない
CrossFit公式の2026年9月30日の記事は、年齢を重ねてからもリングを使う運動を取り入れる意義を論じています。派手な技だけでなく、基礎的な動きを長く続けることに目を向けた記事です。
ただし、リングを使えば肩のケガを予防できる、肩の痛みが治ると約束できるわけではありません。この記事では、難度を調整しやすい「引く運動」の一つとして紹介します。
リングローと懸垂は何が違う?
懸垂はバーなどにぶら下がって体を引き上げます。一方、リングローでは足を床に置き、後ろへ傾けた体をリングへ引き寄せます。足で支えながら、体の角度によって負荷を変えられることが特徴です。
CrossFit公式の動作紹介でも、リングローは初心者から経験者まで調整できる運動として示されています。懸垂の代わりとして使うことはありますが、懸垂ができるようになったら不要になる運動ではありません。
最初に確認したい、リングローの基本
1.器具の準備はコーチと確認する
リングの高さ、左右のストラップの長さ、固定の状態、足元の滑りにくさを確認します。自宅のドアや家具などに自己流で取り付けて、同じことを再現しようとしないでください。
2.まずは体を起こした角度から
リングを握り、足を床につけたまま少し後ろに体を傾けます。最初は立位に近い角度から試し、頭から体幹をなるべく一直線に保ちます。腰を反らせたり、お尻だけ落としたりしないよう、横から見てもらうと確認しやすくなります。
3.勢いをつけずに引き、ゆっくり戻す
肩をすくめすぎず、肘を曲げて胸をリングに近づけます。反動で腰を突き出したり、首だけを前へ伸ばしたりせず、痛みのない範囲で行います。戻るときも急に体を落とさないようにします。
動作の形や回数は、実際にコーチに確認してもらってください。文章や画像だけでフォームが適切かどうかを判断することはできません。
負荷は回数だけでなく「角度」で変わる
一般に、体を起こした角度では取り組みやすく、床に近い角度では負荷が高くなります。同じ10回でも、体の角度や動作の速さが違えば、内容は同じではありません。
回数を達成するために姿勢を崩すより、姿勢を保てる角度を選びましょう。
初心者は、最初から限界まで繰り返す必要はありません。何回なら動きを保てるかを確認し、余裕を残して終えるところからコーチと相談してください。
ほかの種目も含めた調整の考え方は、スケーリングの具体例をご覧ください。
記録には「何回」だけでなく、リングの高さや足の位置、動作の感覚も残すと、次回の比較がしやすくなります。
記録する項目を整理したい方は、クロスフィットの記録のつけ方も参考になります。
医師・産業医の視点:仕事中の姿勢の「帳消し」にしない
デスクワークが長いと、「背中を鍛えれば肩こりが治るのでは」と期待するかもしれません。しかし、肩や首の不調にはさまざまな要因があり、リングロー一つで解決するとは限りません。
私が働く人の運動で大切にしたいのは、ジムで頑張ることと、仕事中の負担を見直すことを別々に扱わないことです。作業環境や休憩の取り方を見直すことも、運動を続けることと並行して考えたいところです。
仕事で腕を多く使った日は、さらに引く運動を増やすことが適切とは限りません。勤務中の負担もコーチに伝え、その日の内容を相談しましょう。
勤務後の運動をどう調整するかは、仕事で疲れた日のクロスフィットでも紹介しています。
肩や肘が痛いときは、無理に続けない
関節に鋭い痛みがある、しびれる、急に力が入らないといった場合は中止してください。角度を変えれば必ず解決するとは限らず、症状が続く場合は医療機関での確認が必要です。
過去に肩の手術や脱臼を経験した方、治療中の病気がある方も、運動の可否や範囲を事前に医療者へ相談してください。「リハビリにも良さそうだから」と自己判断で始めないことが大切です。
青山で運動を始める方へ:最初の目標は懸垂でなくてもいい
CrossFit Aoyamaで運動を始めるときも、「できない動作」を先に数える必要はありません。まずは自分の状態に合う方法を相談し、動きを少しずつ覚えていく。その積み重ねを大切にしたいと考えています。
リングローなら、前回より安定して引けた、ゆっくり戻せた、呼吸を止めずにできた、といった変化も振り返れます。いずれ懸垂を目指す方にも、日常生活の体力をつけたい方にも、目的に応じた取り組み方があります。
よくある質問
腕立て伏せが苦手でもできますか?
腕立て伏せとリングローは異なる動作です。腕立て伏せが苦手だからといって、リングローもできないとは限りません。体調や痛みを確認し、コーチと取り組みやすい角度を探しましょう。
毎日練習したほうが上達しますか?
毎日行う必要はありません。ほかの運動や仕事による負担、回復の状況も含めて頻度を考えます。痛みが出ているのに回数を増やして練習することは避けてください。
まとめ
リングローは、懸垂ができるかどうかに関係なく、負荷を調整しながら取り組める運動です。年齢だけで諦めず、同時に無理もしない。姿勢を保てる角度と、相談できる環境から始めましょう。
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CrossFit Aoyamaについて
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参考情報
執筆:薮野淳也(医師・認定産業医/CrossFit Aoyama)
本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断や運動処方を行うものではありません。症状や持病、治療状況によって適切な運動は異なります。必要に応じて医師や担当コーチへご相談ください。


